顧客保護や顧客満足の観点から2008年に建設業法の一部が改正され、建設各社は営業に関する図書の10年間保存が義務化されました。
建築ひとつの案件で建築図書は、1,000ページ以上に達することもあり、さらに、そのサイズはA0~A2と大きい図面もあり、それを全て紙で保管するとなると保管スペースがどれだけあっても足りません。
加えて、過去の建築図書には、ままだ青焼き書類があり、保存中における劣化が激しく問題となっております。
2010/3月 社団法人 日本建設業連合会より、竣工・引渡し後の書類・図面の電子化/保存に関してガイドラインが発刊されております。
建築三法1 建設業法
法第40条の3の改正により、営業に関する図書として、以下の図書の保存が義務付けられた。
1.完成図 建設工事の目的物の完成時の状況を表した図
2.発注者との打合せ記録 請負契約の当事者が相互に交付したものに限る
3.施工体系図 作成特定建設業者のみ保存
「完成図」「発注者との打合せ記録」の具体的な内容については、特定されておりません。
※ 各社の判断が必要。
● 保存期間は建物を引き渡した日から10年間(規則第28条第2項)
建築三法2 建築士法 法第24条の4第2項
建築士事務所の開設者は国土交通省令で定めるところにより、その建築士事務所の業務に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
保存図書は、次に示す設計図書または工事監理報告書と定められている。(規則第21条第4項)
1. 配置図、各階平面図、2面以上の立面図、2面以上の断面図
2 基礎伏図各階床伏図小屋伏図 構造詳細図、構造計算書
(建築基準法6条第1項二号または三号に係る場合のみ)
● 保存期間は、図書を作成した日から15年間(規則第21条第5項)
建築三法3 建築基準法
特に保存が義務づけられている書類・図面はありません。
電子計算機または磁気ディスクによる記録に代えることができる
(明確に紙面に表示されることが条件)
H20年度国土交通省通知国総建第177号
営業に関する図書については・・・
紙原本を残すことは明記されておらず、紙原本の廃棄については各社の判断に委ねられていると解釈できる。
紙原本を廃棄する場合は、万が一の紛争時に電子化文書だけでは法的証拠能力が担保されない場合もあるので、自社のリスクを考慮した上で、法的証拠能力強化の措置をとる事も検討する必要がある。
長期保存するためのファイル形式
ISO19005:JIS Z6017で規定されている電子化文書のファイル保存形式は、PDF/AとTIFFと規定されています。
(文書はPDF/A、図面はTIFFかPDF/Aを推奨)
● PDF/A
PDF/A は PDF の ISO 標準です。
一般的にスキャンして PDF に変換した文書は PDF/A に準拠しております。この表示モードで文書を表示するかどうかを指定できます。
【例】adobe reader:
● TIFF
1枚の画像データを、解像度や色数、符号化方式の異なるいろいろな形式で一つのファイルにまとめて格納できるため、比較的ソフトに依存しない画像フォーマット。
図面を電子化保存する場合の適正解像度に規定はありませんがファイルサイズと図面の見読性から以下の解像度を科推奨
データの法的証拠性を強化するには、証明力を高めることが重要となります。
作成者や作成日時を説明できないと、証拠採用はかなり難しい。
対策として・・・
(それぞれ役割や有効期限等の違いがあります)